アウロス=エルガーデンは大学で魔術を研究する17歳の魔術士(男)。
しかし、冒頭でいきなりその大学をクビになり、魔術士としての資格も
剥奪されてしまった。
彼が抱える論文は【魔術編綴時におけるルーリング作業の高速化】。
要は今の魔術システムを進化させ、素早く、そして自動的に魔術を出力
できるようにする研究なのだが、どうもこの研究はお偉方に受けが宜しくない。
それでも、アウロスにはこの研究を続けなければならない理由があった。
そんなアウロスに、救いの手が差し伸べられる。
それは、今しがたクビになったばかりの大学より格上の
【ウェンブリー魔術学院大学】の助教授ミスト=シュロスベルの野心だった。
彼は言う。
「君と君の論文を、私の野心の為に利用したい」
それはアウロスにとって、望むところだった。
斯くして、ミスト研究室で働く事になったアウロスだが、どうも
すぐに研究に没頭できる訳ではなさそうだ。
自爆する子供研究員リジル=クレストロイ。
ミストに絶対的な従属を誓う嫌味講師レヴィ=エンロール。
いきなり「仲良くなりたくない」などとのたまう冷めた女性クレール=レドワンス。
そして、孤高の魔女ルイン=リッジウェア。
いずれもクセの強い研究室の面々が、アウロスの精神をじわじわと弄る。
通勤してすぐにドラゴンゾンビと戦ったりしたが、それもまだ可愛いものだ。
そして――――
更なる頭痛のタネとなる女が一人、アウロスと遭遇する。
彼女の名は、ラディアンス=ルマーニュ。情報屋だ。
けたたましくも使い勝手の良い補佐を得た事で、地盤は固まった。
しかし、研究を進めようとしたアウロスに一つの難題が発生する。
協力を要請していた魔具科の若きホープ、ウォルト=ベンゲルがそれを
拒否して来たのだ。
それでもアウロスは彼を自分の研究に引き入れようと、情報屋ラディアンスを
使い、その活路を見出す術を模索する。
実験や実戦訓練などをどうにかこなしつつ、新しい環境に徐々にではあるが
慣れて来た中、アウロスはウォルトの秘密を知る事になる。
その秘密とは――――
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