
■Prologue |
自分の中の一番古い記憶――――それが何歳の頃の事なのかは、わからない。
おぼろげな記憶。
古い記憶。
写真で想起される記憶。
手掛かりは無数にあるものの、断定に至るまでの明確な証拠は存在しない。
ただ。
「本当にもう、迷惑だよ」
それが、自分の存在を定義する最初の言葉だったと言う事だけは、何となく覚えていた。
自分と言う人間が、自分以外の人間にとって、どう言う存在なのか。
どう言った意味を持っているのか。
その疑問に対する回答は、既に出ている。
何年経とうと、何を経験しようと、結局のところは最初のたった一つの言葉こそが、その答えなのだ。
美しい紫紺の空を流れる雲も。
幻のような景色の中に潜む、確かな証も。
何もかもが、無駄なのか。
何を経ても、どんな未来に身を投じても、誰と出会い、どのような愛を語ろうと、
変わる事のない絶対の定義なのか。
この命の舗装路は、長い長い確認作業の為の道でしかないのか。
本当に大切な物は、身近な所にあると言う、あの有名な物語のように。
記憶も意義も、源流に集約されてしまうのだろうか。
「そんな事はないさ」
誰かが、言った。
それは――――
自分の声だった。
■第一章 【青い鳥症候群】 | ||||
■第二章 【解離性症候群】 | ||||
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※現在休止中 ●その他の作品 ロスト=ストーリーは斯く綴れり (完結) αμαρτια(アマルティア) (毎週土曜up!) アクシス・ムンディの萌芽更新 (不定期連載中) 新米探偵・狭間十色 (不定期連載中) こすぱ!!! (不定期連載中) 魔王討伐!俺、英雄…だったはずなのに!? (書籍・全3巻) 宝島社刊/このライトノベルがすごい!文庫 |